1週間前の申し入れでも円満に退職可能な理由

仕事

憲法による退職の自由の保障

退職とは労働者の意思により勤務している会社を辞めることです。すなわち、会社と労働者との間で結ばれた雇用契約の終了を意味します。

解雇は会社が一方的に労働者との雇用契約を終了させることですが、退職は労働者が会社との雇用契約を一方的に終了させることになります。

なお、労働者が自己都合により会社との雇用契約を終了させることは、原則的に自由です。憲法により、労働者は仕事を自由に辞める権利が保障されているからです。

労働者が退職の意思表示をしているのにもかかわらず、会社側の都合により退職を拒否することはできません。例えば、優秀な社員が自己都合による退職を申し出た場合でも、会社側は人員不足や繁忙期を理由に退職届を受理せず、引き延ばしたりすることはできないのです。

民法における退職のルール

労働基準法によって作成が義務づけられている会社の就業規則には、退職に関するルールが設けられています。

就業規則は会社ごとに違いがあり、それは退職のルールにも当てはまります。退職に関して2週間前の申し入れを規定している会社もあれば、1か月前や3か月前の申し入れを規定している会社もあるのです。

会社を円満に退職するには、会社の就業規則に定められたルールに従うのがベストな選択です。しかし、必ずしも就業規則のルールに縛られる必要はありません。退職に関するルールは民法によって定められていて、会社の就業規則よりも法的な効力があるからです。

民法では、期間に定めのない雇用契約は退職の申し入れから2週間経過すれば終了すると規定されており、退職の2週間前までに申し入れをすれば退職が可能となるのです。また、期間に定めのある雇用契約は原則的に契約途中の退職はできませんが、やむをえない事由による退職は認められています。

なお、雇用契約の初日から1年以後になると、労働者の意思による自由な退職が可能になります。