【奇子】ネタバレ注意!手塚治虫作品の考察と感想|無料で読む方法は?【漫画】

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衝撃的な青年漫画「奇子」

「奇子」は、1972年から1973年まで連載された青年漫画です。戦後日本の大地主と呼ばれた旧家が舞台ですが、闇の部分が描き出されています。旧家の次男が復員したところから、ストーリーは始まります。

ここからはネタバレになりますが、幼い頃に身内の殺人事件を目撃したことが原因で、奇子は土蔵で暮らしていました。やがて救い出されるものの、普通の日常生活は送ることはできません。

悲壮な雰囲気が漂っているところが、「奇子」の大きな魅力です。また、旧家の家族物語だけではなく、実際の事件をベースにした政治ネタも絡めています。

けれど、作者独自の考察が加えられており、規模の大きなオリジナル作品に仕上がっています。戦後の闇に興味がある方におすすめです。

「奇子」を描いた手塚治虫について

奇子」を描いた手塚治虫は、日本を代表する漫画家です。すでに故人となりましたが、手塚治虫を「先生」と慕う現役漫画家は大勢います。

昭和3年生まれで、昭和21年に4コマ漫画でデビューしました。以来、平成元年になるまで、常にパイオニアとして現役を貫きました。

戦後から昭和が終わるまで活躍したために、手塚治虫の漫画には昭和史が色濃く反映されています。しかも、少年漫画や青年漫画だけではなく、少女漫画も手がけました。

SFやファンタジー、ホラーやミステリー、民俗学や時代物などジャンルが幅広く、作品数も膨大です。「手塚治虫が描かなかったジャンルはない」と言われています。

日本では、手塚治虫は「漫画の神様」と呼ばれており、名前を冠した漫画賞も創設されました。

手塚治虫の作品の中で、「奇子」は異色の漫画です。なぜなら、手塚治虫文庫全集で全2巻の短い作品だからです。さらに、陰鬱な雰囲気が漂っており、明るいハッピーエンドを予想することができません。

そのために、ファンの間では評価が分かれていますが、今でも「奇子」の人気は根強く、舞台化もされました。新規のファンになる方も多く、これからも読み継がれることが予測されています。